第九
ベートーベンの作った曲の中で、世界で類を見ない特殊な現象が日本で起っています。それが交響曲第九番ニ短調合唱付き作品125です。毎年12月になると、なぜか日本中でベートーベンの第九の演奏会が開かれます。日本で演奏されるクラシックの曲は無数にありますが、年末に限ってしかもあらゆるオーケストラが演奏するのはこの曲だけです。第九が年末に初めて演奏されたのはNHK交響楽団の1928年、その後は37年、38年と続き、46年までは42年に催されただけで、取り上げられませんでした。しかし47年からは毎年演奏され、57年頃からはN響以外のオーケストラもこの動きに参加し、12月ひと月で全国で90回以上も第九が演奏されるようになりました。なぜ第九が12月にこれほど演奏されるようになったかというと、この交響曲には終楽章に合唱の部分があり、ベートーベンは23歳頃にドイツの詩人シラーの詞、歓喜への頌歌に感激してこれに音楽をつけることを考え、約30年後に実現したのですが、この合唱がこの曲の人気に関係があります。第九の演奏にはプロの交響楽団にアマチュアの合唱団の組み合わせが普通で、プロと演奏できるということから熱気がこもり、会場の雰囲気を盛り上げます。台所事情の苦しい楽団、出演者の収入を助ける事も年末の第九の傾向を助長することになります。この時期約20回も演奏する交響楽団があり、4人登場するソリストの中には7、8回もこなす例もあります。
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