生演奏
生演奏には視覚効果も伴います。ステージでは演奏家が楽器を弾き、その様子が眼に飛び込んできます。客席には演奏を聴くという自分と同じ目的をもった聴衆がいます。ステージと聴衆、その聴衆のひとりの自分という連帯感も生の演奏を聴く魅力です。レコードの場合はまったく反対で、多くの場合は聴くのは自分一人で、それも他人を拒絶して密室状態になりがちです。演奏会場における指揮者、さらには聴衆との連帯感がありません。そのかわりにレコードの場合は聴きたい時に聴けるという利点もあり、何回でも繰り返して聴くことができます。演奏自体についても生演奏とレコードには大きな差があり、演奏会場では演奏家がもし間違っても、またある部分の演奏が非常に出来が悪くてもあらためてやり直すことはまずなく終わりまで続けられます。演奏家も人間なので出来、不出来は当然あるでしょうし、それが演奏会の楽しみでもあります。レコードの場合には録音技術が非常に発達して雑音はほとんどなくなり、楽器の音も、生の演奏会では聞き取れないような微妙な部分まで聴かせてくれます。演奏会では良い座席がとれず、3階、4階の隅の方で聴かなくてはならない時などとは比較にならないほどの鮮明さです。さらにレコードの場合はやり直しがきき、気に入らなければ演奏し直して録音し、つなぎ合わせばよいので、もっともいい状態の演奏が1枚のレコードとしてでき上がってきます。指揮者の中には多少うまく演奏できない部分があっても終わりまで演奏を続けてこそ音楽だとして、やり直しやつぎはぎを嫌う人もいます。どちらをとるかは聴く人の判断になりますが、いずれにしても生演奏とレコードの演奏には違うジャンルの音楽として聴き分ける必要がありそうです。
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