新世界

ドボルザークという名前を知らない人でも新世界という交響曲があることは聴いた事があるでしょうし、また新世界を知らない人でも家路という歌は知っているはずです。それほどこの交響曲のメロディは有名です。ドボルザークはチェコスロバキアのプラハに近い寒村の肉屋兼業の旅館の長男として生れ、肉屋商売に必要なドイツ語の勉強をしますが、先生がドイツ語よりもむしろ音楽の先生としてすぐれ、この先生の手ほどきを受けた事がドボルザークの音楽家としての道を開くこととなりました。スメタナの下でビオラ奏者として生活を始め、歌曲、オペラなどを作曲して成功を収めた後、交響曲にとりかかり9つの交響曲、5つの交響詩を作曲しました。このうち交響曲第9番ホ短調、新世界より作品95は、ニューヨークに私立の音楽学校を創立したジャネット・サーバーという夫人に校長として招かれ、3年間アメリカに滞在した時に作曲したもので、新世界とはアメリカを意味しています。この音楽学校にはアメリカ原住民やアフリカ系黒人を人種差別なく入学を許したので、ドボルザークは生徒の中の黒人から黒人霊歌や土着の旋律を知ることになりました。これらの旋律はチェコの貧しい家に生れたドボルザークの共感を呼び、それを取り入れ、新世界のみずみずしい印象を築き上げました。この交響曲は1893年12月にニューヨークのカーネギーホールで初演され大変な成功を収めたといわれています。新世界という異色の素材によることも成功の理由でしょうが、アメリカの要素をもっているとはいえ、内容は故郷へのせつない望郷の念を描いたもので、ボヘミアの特徴がふんだんに盛り込まれています。

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